

> バイオガス発電について
バイオガスプラントの構造
一般的なバイオガスプラントの全体の流れは、以下のフロー図のようになります。
原料の種類や発酵方式、消化液の処理方法や用途等で、さらに必要となる設備等もあります。

① 原料受入
バイオガスプラントの原料とする有機性廃棄物をプラントで受入れ、原料受入槽へ投入します。状況により大量に受け入れる必要がある場合には貯留設備や保管場所を別途設ける必要があります。
② 前処理
生ごみ等を原料とする場合には、細かく砕く破砕機が必要となります。
また、湿式発酵を行う場合にあっては、水分の量を調整する事が必要となります。
③ 発酵
メタン発酵は複数の発酵槽に分けて行うのが基本です。
これは発酵原料や工程ごとに槽を分けることで、発酵を促進するためと、一定期間ごとに必要となるメンテナンスのためです。メタン発酵は絶対嫌気性の環境が必要不可欠で、発酵槽を密閉構造にするため、発生したガスも臭気も外に漏れません。
④ ガスの精製
バイオガスは、概ねメタン約60%、二酸化炭素約40%で構成されますが、その他に微量の硫化水素等が含まれます。硫化水素は金属を腐食させる性質を持ち発電機の内燃機関や配管を腐食させるため、バイオガス中から脱硫装置を使って取り除く必要があります。脱硫方式としては乾式脱硫と生物脱硫のふたつの方式があります。
⑤ ガスの貯留
発生したバイオガスは発生量と消費量のバランスをとることが必要であり、ある程度貯めておいて必要に応じて発電機へと供給します。
⑥ 消化液の貯留
バイオガスを発生させた後の残渣(消化液)を一定量貯めておきます。
二次発酵槽や消化液槽等の貯留設備を設ける必要があります。
⑦ 発電
ガスエンジン付き発電機を用いて、発電を行います。
火力によるタービン発電機ではないため、省スペースで高い発電効率を得ることができます。プラント全体の中でメンテナンスコストが高い機器でもあります。
発電した電力は固定価格買取制度(FIT)を利用して、電力会社へ売電することが可能です。
現在、バイオガスプラントによる電力は39円(税別)での買取となっているほか、電気を売らずに自家消費することも可能です。
⑧ 熱回収
発電機から回収した熱(湯)は発酵槽の加温等に使われます。
しかし、ほとんどのプラントでは熱が余るため、これを別の用途に使うことができます。国内の事例では養殖や野菜等のビニールハウスの加温や保温に使われるほか、海外では床暖房など地域熱供給として一般住宅等で使われることもあり、販売も可能です。
⑨ 消化液の利用と処理
消化液は肥料としての効能が大きく、バイオガス事業においては消化液を液肥として利用できるかどうかが事業成立の大きなポイントでもあります。
また、消化液を機械(脱水機)により固体と液体に分け、固体分(脱水汚泥)を堆肥に、液体分を液肥に使う場合もあります。もし液体肥料として使用しない場合には、下水や公共水域に放流するため水処理設備を設ける必要があります。